「看護業務の効率化先進事例アワード2019」受賞施設の取組を、以下よりご覧いただけます。
 全10施設の事例集(詳細版・概要版)、取組動画、評価のポイントを掲載しております。

 

【最優秀賞】

一般社団法人熊本市医師会 熊本地域医療センター
「ユニフォーム2色制」と「ポリバレントナース育成」による持続可能な残業削減への取り組み

[評価のポイント]
 次勤務者へ引継ぎ可能な業務による残業の多さが課題であり、ユニフォーム2色制の導入によって、日勤と夜勤の勤務者の区別を明確にした。これにより、医師が指示を出す看護師が明確になり、職員のタイムマネジメント・働き方に関する意識改革が進み、その結果、時間外勤務の削減に顕著な効果が見られた。
 さらに、「ポリバレントナース(院内留学やジョブ・ローテーションを通じて、様々な看護単位で活動できるオールラウンドプレイヤー)」を育成し、急な欠勤への対応や業務量の多い部署への応援等を可能にした。これにより、業務過多への対策がさら充実し、ユニフォーム2色制を持続可能な取組とすることができた。
 本取組は、高額な費用や大掛かりな設備投資を必要とせず、費用対効果が非常に高い。さらに、多くの病院で取り組むことができるという汎用性の高さが評価された。

【優秀賞】

【業務改善部門】

県立広島病院
看護記録に要する時間削減の効率化への取り組み―記録内容の標準化とリアルタイム記録に焦点を当てて―

[評価のポイント]
 記録業務による時間外勤務時間が多いという課題に対して、記録業務の工程の標準化を図り、既存の電子カルテをワンクリックすることで記録を自動で展開できるシステムを、組織全体で活用する体制を整備した。さらに、システム活用の推進を目的として、「パートナー制の導入」等による、リアルタイム記録の徹底を図った。
 その結果、リアルタイム記録の増加および時間外記録の減少等により、3年間で時間外勤務が72%削減した。さらに、看護職員の勤務負担が軽減し、働きやすい職場としての職員満足度が向上するとともに、勤務時間内に退院支援カンファレンスが可能になり、看護の質の向上にもつながった点が評価された。

【タスクシフト・多職種連携部門】

社会医療法人石川記念会 HITO病院
病棟薬剤師との役割委譲・協働による病棟薬剤管理業務の見直し

[評価のポイント]
 配薬準備等を理由とした時間外勤務の多さ、薬剤管理・準備・配薬に関するインシデントが繰り返されるなど、看護師の病棟薬剤管理業務に課題があった。これに対し、病棟薬剤管理業務内容を明確にし、看護師・薬剤師が専門性に応じた役割を実践することを看護部・薬剤部共通の目標に掲げた。さらに、病棟薬剤師との業務分担を見直し、看護師から薬剤師への業務委譲を行った。
 その結果、夜勤看護師の始業前出勤の減少、看護師のベッドサイド訪室時間の充実、薬剤に関するインシデント発生数の減少等、様々な効果がみられた。
 本取組は、多職種が各々の専門性を発揮しながら、業務効率化、ケアの質の向上を実現した点が評価された。

【AI・ICT等の技術の活用部門】

訪問看護リハビリステーション アオアクア
音声入力で時間短縮 残業を減らそう

[評価のポイント]
 訪問看護利用者数の増加によって残業時間が増えるとともに、職員の満足度・生産性の低下が課題であった。これに対し、時間の効率的な活用を目的として、スマートフォンに音声で入力した内容がカルテに直接送られる音声入力システムを導入した。
 その結果、職員の記録時間の大幅な削減に成功した。さらに、日々の記録だけではなく、計画書や報告書の作成等にも活用の幅を広げた結果、職員・管理者ともに、平均残業時間が約半分に減少した。
 本取組は、訪問看護の現場におけるICTの活用という新しさ、残業時間の大幅な削減という効果と汎用性の高さが評価された。

【その他の工夫部門】

医療法人社団協友会 メディカルトピア草加病院
小規模病院における看護クラーク科の立ち上げ・看護クラークの一元管理による看護師負担軽減

[評価のポイント]
 看護職が事務業務のために看護業務に専念できないという課題があり、また、看護クラークが部署単位で配置されていることによって、院内で看護クラークを十分に活用しきれていない現状があった。これに対し、看護クラーク科を立ち上げクラーク管理を一元化し、クラーク業務の見直しと看護職からクラークへの業務委譲を行った。さらに、複数部署の業務を担当できるクラークを育成し、病院全体で看護職およびクラークの時間の有効活用を図った。
 その結果、看護職が看護業務に専念する時間の確保および時間外勤務の削減を実現し、さらには、看護職員の確保・定着、患者へのサービスの質向上につながった。
 本取組は汎用性が高く、小規模病院でも参考になる事例であることや、多職種連携の観点からも評価された。

【奨励賞】

国民健康保険 小松市民病院
外来病棟一元化による勤務環境改善

[評価のポイント]
 外来看護体制は専従に近く、限られた人数での対応を余儀なくされており、時間外勤務や有給休暇の取得に課題があった。これに対し、部署・看護師長間の協働・補完体制を整備し、全病棟を対象に外来との一元化を実現することにより、病棟および外来看護師の連携を進めた。
 その結果、時間外勤務の削減、年次有給休暇取得の増加等、外来看護師の負担軽減につながった。さらに、業務効率化により生み出された時間は、インフォームドコンセントへの同席回数の増加など患者へのケアの充実、同じ看護師が入院前・入院中・退院後にかかわることによる患者への安心感の提供など、患者目線でのきめ細かいケアの提供に成功した。
 本取組は、一部の領域でのみ行われていた外来病棟一元管理を病院全体に広げたという先進性、顕著な業務効率化、患者の満足度につながった点が評価された。

聖マリアンナ医科大学病院
ナースハッピープロジェクト(NHP)~音声入力による記録時間の削減~

[評価のポイント]
 高度急性期医療の現場での多忙な業務による看護師の疲弊感、やりがいの喪失は離職につながる現状があり、「業務効率の徹底追及と無駄の排除」に取り組むことになった。その中で、記録時間の削減が課題として挙がり、記録内容を見直し、看護記録をリアルタイムで行えるようにすることを目的に、電子カルテへ音声入力システムを導入した。
 その結果、リアルタイムな記録が可能になり、業務時間内の記録時間が約2倍に増加し、月平均時間外勤務時間が半減した。さらに、ベッドサイドケアの時間が増加し、看護実践に対する満足度の向上、職員間の連携強化等、「看護師がハッピーにやりがいの感じられる職場」を実現した。
 看護記録は看護師にとって重要な業務である一方、時間外勤務の原因となるケースが多い中で、音声入力システムを導入した先進性が評価された。

医療法人恵尚会 佐呂間町立診療所 クリニックさろま
へき地におけるICTを活用した多職種連携

[評価のポイント]
 北海道の網走管内の人口5,200人というへき地の診療所で、看護職等の人材不足が深刻であった。さらに、リハビリテーションを必要とする高齢入院患者(平均年齢89.3歳)が多いにもかかわらず、町内の理学療法士が不在で、リハビリ支援に課題があった。そこで、町外の理学療法士と連携してネット回線を使用したビデオ通話会議等を行い、多職種で患者の状態評価、リハビリテーション計画を立案し、実施方法等について情報共有を図った。
 その結果、退院患者のセルフケア行動の維持率が100%を達成し、寝たきり患者の拘縮予防訓練を退院後も継続できた。
 へき地における有床診療所という制約の下、ICTによる広域での人材活用や多職種連携の在り方へ一石を投じる取組であり、同様の問題を抱える他の医療機関・診療所への汎用性もある点が評価された。

【特別賞】

NTT東日本関東病院
RPA(ロボットによる業務自動化)導入による看護管理業務の効率化

[評価のポイント]
 看護管理者の管理業務として、看護師の勤務変更等に関する人事管理データの集計・資料作成を手作業で行っており、多くの時間と労力を要していた。そこで、「RPA(ロボットによる業務自動化)」を導入し、これまで看護管理者が手作業で行っていたデータ集計・資料作成の業務を全てソフトウェアのロボットが代行することとした。
 その結果、短時間でより正確な資料を作成できるようになり、看護管理者の作業量を大幅に削減することができた。
 他業界では導入が進んでいるRPAだが、医療系での導入はまだ少なく、先駆的な取組である点が評価された。

福井大学医学部附属病院
総合滅菌管理システムによる労働生産性の向上と働き方改革の実現

[評価のポイント]
 手術件数の増加、在院日数の短縮により、手術部看護師の業務量負荷が増大し、手術部看護業務の効率化に課題があった。また医療器械の滅菌管理業務は、複雑で専門性が高く習得に時間がかかることから、スタッフの定着に課題があった。そこで、総合滅菌管理システムを導入し、滅菌管理業務のIoT化や器械へのGS1コード刻印により、器械のリアルタイムな位置情報の管理等を可能にした。
 その結果、手術件数が2割増加したにもかかわらず、作業効率が34%上昇し、組立ミスの発生率60%減少、超過勤務時間は80%減少した。また、手術器械の位置情報により、緊急手術申込時の手術部看護師の迅速な判断に繋がる等、看護業務の効率化を実現した。
 滅菌管理業務・手術看護業務の効率化において、システム導入による費用対効果の高さと先進性が評価された。

日本看護協会Nursing Now